離婚に伴うお金のはなし
夫婦が離婚をする際には、数多くの項目についてお金の精算を行う必要があります。 ご自身の正当な権利を実現し、かつ離婚後…[続きを読む]
東京弁護士会所属、千代田区の弁護士事務所。法律相談を承ります。
離婚は男女平等に取り扱われるべきものですが、実際の離婚実務においては男性側が不利な立場に置かれることは少なくありません。
婚姻費用や養育費、親権など、不利になりがちな事由を克服し、より良い条件で離婚を進めるためには、早期に弁護士へ相談した上で事前準備に力を入れることが極めて重要です。
今回は、男性が離婚を有利に進めるための注意点と準備、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
目次
離婚の話し合いの際に男性が不利になりやすい理由としては、以下のようなものが考えられます。
一般的に、夫は妻よりも収入が高い場合が多く、「婚姻費用(別居中の生活費)」や「養育費」を支払う立場になることが多いです。
また、現状では、まだ「子どもと日常的に接しているのは母親」という家庭が多いため、母親に親権が認められるケースが少なくありません。
さらに、男性は、仕事で忙しく、離婚に向けた証拠収集や財産整理などの準備が不十分になりがちです。たとえば、不貞の証拠が十分でなく妻の有責性を立証できなければ、慰謝料請求や有利な条件交渉が困難になります。
このように、十分な対策ができていない状態だと、妻側の主張が通りやすくなり、不利な条件で離婚が成立してしまうことも少なくありません。
上記を踏まえた上で、離婚理由(妻の行動)の証拠確保や、財産関係の整理、子どもとの関係性を大切にすることが、離婚条件に大きな影響を与えるため、十分な準備が必要であることを知っておくべきです。
妻の有責性を主張するには、それを裏付ける証拠が必要です。
たとえば、妻の不貞行為を立証するためには、メールやSNSのやり取り、ホテルの出入りの写真など客観的な資料が求められます。
また、妻からのDV・モラハラがあった場合、録音や診断書を残しておくことが有効です。
証拠が不十分だと、有責性を立証できず慰謝料請求が困難になったり、離婚そのものがスムーズに認められなかったりする場合もあります。
離婚時の財産分与では、婚姻中に築いた財産を夫婦で分け合うことになります。
妻に財産管理を委ねている家庭では、妻がどのような財産を持っているのかわからず、結果として男性側が不利な条件で財産分与に応じなければならないケースも少なくありません。
財産分与で不利にならないためには、財産の一覧を作成し、通帳のコピーや権利証、源泉徴収票などを早めに整理しておくことが大切です。
婚姻前からある財産は、特有財産として財産分与から除外することができますので、過大な財産分与を防ぐためにも事前の確認が重要になります。
親権や面会交流をめぐる争いでは、「これまでどれだけ子どもと関わってきたか」「離婚後の子どもの生活・精神がどれほど安定するか」が重視されます。
父親が仕事一辺倒で家庭に関与していないとみなされると、親権の獲得は難しくなり、面会交流の頻度も制限される可能性があります。
そのため、早いうちから子どもの生活に積極的に関与し、養育日誌や写真などを残しておくことが有利に働きます。子どもとの関係を大切にしてきた記録は、調停や裁判での説得力ある資料となります。
婚姻費用や養育費の金額は、家庭裁判所が公表している「算定表」を参考に決められるのが一般的です。
算定表は、夫婦の収入や子どもの人数・年齢などを基準に算出されるため、恣意的に高額な金額を請求されるのを防ぐ役割を果たします。
相手方が算定表を無視して過大な金額を主張するケースもありますが、その際は算定表に基づいた適正な金額を提示することで対抗できます。
協議や調停が長引けば長引くほど、婚姻費用の負担が膨らみます。特に、離婚が成立するまで数年を要する場合、支払総額は数百万円に達することもあります。
このリスクを避けるためには、早期に離婚成立へと進める工夫が重要です。
たとえば、証拠を揃えて有責性を立証できれば、相手の譲歩を引き出しやすくなります。結果として、余計な時間の浪費を防ぐことができます。
裁判所は、親権者を決める際、「子どもの利益」を最優先に考えます。その判断基準としては、監護実績(これまでどちらが主に子どもを育ててきたか)、生活環境の安定性、今後の養育能力などが重視されます。
現状では、母親が専業主婦やパート勤務で子どもと過ごす時間が長い家庭が多い一方、仕事に忙しい父親は家庭に関与していないとみなされやすく、男性側は親権争いで不利になる可能性が高いといえます。
親権を獲得したい父親は、仕事と子育てを両立できることを積極的に示す必要があります。
たとえば、以下のような具体的な事実を証明することが有効です。
弁護士の助言を受けながら、父親としての監護能力を裏付ける資料を準備することが重要になります。
親権を得られなかった場合でも、「面会交流権」があります。面会交流は子どもの健全な成長に欠かせないものであり、裁判所も一定の範囲で父子の交流を認めています。
ただし、母親側が強く反対する場合など、交流方法をめぐって対立するケースもありますので、以下のポイントを押さえておくべきです。
弁護士を通じた交渉であれば、実現可能な内容に落とし込みやすくなります。
2024年の民法改正により、2026年からは「共同親権」が選択できるようになります。
これまでの日本では離婚後は一方の親のみが親権を持つ「単独親権」が原則でしたが、共同親権の導入により、父親が子どもの進学や医療など重要な意思決定に関与できる可能性が広がります。
もっとも、共同親権を選ぶかどうかは夫婦間の合意や裁判所の判断に左右されるため、必ずしも全てのケースに適用されるわけではありません。
制度改正の動きを見据えて、弁護士に相談しながら最適な方針を検討することが大切です。
男性側が離婚を有利に進めるためには、早い段階で弁護士に依頼することが非常に重要です。
婚姻費用や養育費は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」をもとに定められますが、相手方がその算定表を無視して過大な金額を請求してくるケースも少なくありません。
弁護士に依頼すれば、収入状況や生活実態に即した適正な金額を主張することができ、無駄な負担を避けやすくなります。
また、婚姻費用の支払い期間をできる限り短縮するための戦略を立て、早期離婚の実現に向けた交渉を有利に進めることも可能です。
離婚条件を左右するのは「どれだけ有力な証拠を揃えられるか」です。弁護士はどのような証拠が有効かを見極め、収集の方法について具体的なアドバイスを行います。
さらに、調停や裁判では、証拠を効果的に提示し、法的に正しい主張を組み立てる必要があります。専門知識のない状態で臨むと不利な和解案を受け入れざるを得ないこともありますが、弁護士がいれば戦略的に主張を展開できます。
離婚は精神的なストレスが大きく、仕事や生活に支障をきたすケースも多くあります。
しかし、相手方との直接交渉を避け、弁護士に対応を一任することで、余計な精神的負担を軽減することができます。
また、弁護士は調停や裁判の手続きを熟知しているため、手続きをスムーズに進めやすくなります。結果として、時間とコストを節約しつつ、有利な条件で離婚を成立できる可能性が高くなります。
離婚において男性側は、婚姻費用や養育費の支払い、親権についての不利な立場、仕事の忙しさからくる準備不足など、さまざまなリスクを抱えやすいのが現実です。
しかし、証拠の確保や財産整理、子どもとの関係を記録するなど、適切な準備を行うことで不利な立場を克服することができます。さらに、弁護士に早期依頼すれば、婚姻費用の負担を抑える交渉や、調停・裁判で有利な主張を組み立てることが可能となり、離婚成立までの時間を短縮する効果も期待できます。
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