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親の離婚と子どもへの影響|子どもの気持ち・ストレスなどについて

親の離婚と子どもへの影響|子どもの気持ち・ストレスなどについて

子どもがいる場合、離婚は夫婦だけの問題ではありません。

離婚により子どもの生活環境は大きく変化するため、子どもにはさまざまな不安やストレスが生じることになります。親がしっかりとケアしてあげなければ、離婚が子どもに対して悪影響を及ぼす可能性もありますので注意が必要です。

今回は、親の離婚が子どもに及ぼす影響と、その悪影響を少なくするための対処法などを解説します。

1.親の離婚を経験した子どもの気持ち

親の離婚を経験した子どもはどのような気持ちになるのでしょうか。
まずは、親の離婚で子どもが感じるストレスや、年齢別の影響について考えます。

1-1.親の離婚で子どもが感じるストレス

親の離婚で子どもが感じるストレスには、主に以下のようなものがあります。

①不安

親が離婚に向けて話し合いをしているところを目の当たりにすれば、物心がついている子どもは「これからどっちと暮らすの?」という不安な気持ちを抱えることになります。

また、離婚により引っ越しや転校をしなければならない状況になると、今後の生活にも不安が生じてしまいます。

離婚は、以前に比べて珍しいことではなくなりました。
それでも、離婚をしたことで友達からからかわれるのではないか?転校先で友達はできるのか?などの不安・ストレスを感じることがあるのです。

②罪悪感

子どもは、親の喧嘩や不仲を自分が原因だと感じることも多いです。

「自分が悪かったかもしれない」「自分がもっといい子だったら離婚しなかったのでは?」など、親の離婚をきっかけに罪悪感を抱き、自分を責めてしまう子どももいるようです。

③怒り・混乱

離婚によりこれまで平穏に暮らしていた生活が一変してしまうことで、親に対して怒りを抱くことがあります。両親から裏切られたような感覚になることがその原因の一つといえるでしょう。

両親のどちらか一方と離れて暮らすことになると「見捨てられた」と感じることがあります。また、親権争いに子どもが巻き込まれるとプレッシャーを感じることもあるようです。

子どもにとっては、両親が離婚して片親としか暮らせなかったり、親権争いで親同士が争っているのを見たりすると、「なぜ仲良くできないの?」と理解が追い付かず、混乱してしまうこともあります。

④悲しみ・喪失感

子どもにとって「家族は一緒に暮らすのが当たり前」という感覚だったものが、離婚により別々の生活を余儀なくされることで深い喪失感を抱きます。

大人と違い、子どもはすぐには状況を理解できませんので、悲しみを抱えたまま生活しなければなりません。

1-2.年齢別に見る離婚による子どもへの影響

離婚による影響は、子どもの年齢によって変化します。年齢別の離婚による影響は、以下のようなものが考えられます。

  • 幼児期(3~6歳):親の不在を強く感じ、泣いたり退行したりする
  • 小学生:離婚の理由を理解できず混乱し、罪悪感を抱き、問題行動に出ることもある
  • 中高生:理解力があるため冷静に受け止めてくれることが多いが、怒りや反発が起こり得る他、悩みを打ち明けられず抱え込んでしまうこともある

【再婚によりさらに深刻な悩みを抱えてしまうこともある】
離婚により子どもには大きなストレスがかかりますが、そのようなストレスが解消されていない段階で再婚をするとさらに大きなストレスを与えることになります。
経済的な不安からすぐにでも再婚したいという気持ちも理解できますが、子どもの気持ちにも寄り添って慎重に進めていくことが大切です。

2.親の離婚が子どもに与える影響

では、親の離婚により上記のような気持ちを抱くと、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか。

2-1.成績への影響

環境の変化に伴うストレスにより学習意欲や集中力が低下し、成績に影響が生じてしまうケースがあります。特に、離婚直後から1年間は一時的に成績が落ちるケースが多いといわれています。

また、ひとり親家庭になることで経済的に困難になり、進学や習い事の機会が減ることも成績に影響を与える事情の一つとなります。

2-2.精神的なストレスで感情が不安定になる

子どもは、親の離婚により安心できる拠り所を失った感覚に陥りますので、孤独感や不安感から精神的に不安定な状態になることがあります。
また、「自分のせいで離婚した」と思い込み罪悪感を抱いたり、「親から見捨てられた」と感じ愛着を失うなどの精神的ストレスも生じたりします。

このような精神的なストレスを抱えたまま周囲の大人による適切なサポートがなければ、精神的な病気・依存症になってしまうこともあります。

2-3.子どもの将来の結婚・離婚への影響

親の離婚を経験した子どもは、「結婚してもどうせ離婚する」という考え方を持ちやすくなり、恋愛や結婚に対して不安を抱えてしまいます。

また、離婚を経験した子どもは、夫婦関係を維持するためのスキルや夫婦間の問題を解決するスキルを学ぶ機会に乏しいため、自分が結婚した後も配偶者と適切な関係を築くのが困難になり、離婚をする可能性が高くなると言われています。

2-4.普段の素行への影響

離婚をしてひとり親家庭になると、子どもに対して十分な配慮ができなくなることが多いです。子どもが親を支えようとバイトや家の手伝いを始めると勉強時間が確保できなくなり、学校の勉強についていけず不登校になってしまう可能性も0ではありません。

また、親の目の届かない時間が増えてくると、悪い友達とつるむようになり、非行や飲酒・喫煙などのリスクが高くなります。

3.離婚による子どもへの影響を少なくするために

離婚により子どもにはさまざまな影響が生じます。
子どもに与える影響を最小限に抑えるためにも、以下のような対処法を検討してみましょう。

3-1.離婚を伝えるときの注意点

子どもに離婚を伝えるときは、以下の点に注意が必要です。

①離婚を伝えるタイミングに気を付ける

子どもに離婚を伝えるのは、離婚の話し合いをしている最中ではなく、実際に離婚が決まりそうになったタイミングで伝えるのが望ましいといえます。
なぜなら、未確定の段階で子どもに伝えてしまうと、子どもに過剰な不安や混乱を与えてしまうからです。

また、学校の行事前、テスト前などは避けるようにします。
離婚により転校を伴う場合は、新しい学年に切り替わるタイミングの方がストレスも少ないといえます。

②子どもに嘘をつかない

離婚により、子どもは親に対して不信感を抱いていますので、嘘やごまかしは絶対にしてはいけません。嘘がばれてしまうと子どもは誰のことを信じればよいかわからなくなり、精神的なストレスが増加する原因になってしまいます。

子どもに対して伝えるべきではない事項(不倫、DV、モラハラなど)は隠していていても問題はありませんが、嘘だけはつかないようにしましょう。

③離婚を子どものせいにしない

子どもは、親の離婚や不仲を自分のせいだと思い込むことが多いため、「あなたのせいではない」と繰り返し伝えることが重要です。

離婚により親も精神的に余裕がない状態かもしれませんが、子どもを責めることは絶対にしてはいけません。

3-2.離婚後も気をつけるべきこと

離婚をした後も子どもへの影響を最小限に抑えるために、以下の点に注意が必要です。

①子どもに配偶者の悪口を言わない

子どもにとっては両親とも大切な存在で、離婚後もその気持ちは変わりありません。一方の親から他方の親の悪口を聞かされると、自分の一部を否定されたようにさえ感じてしまいます。

特に、離婚後も面会交流を予定しているのであれば、子どもを混乱させないためにも子どもの前では配偶者の悪口を言わないように気を付けましょう。

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②両親は子を愛していると伝える

できれば、離婚後も両親はそれぞれ子どもと継続的に関わり、子どもに対して「愛している」と伝えることが大切です。親から大切にされていると感じることができれば、離婚後も子どもは精神的に安定して生活することができますので、離婚による影響を最小限に抑えることができます。

なお、それには子どもとの面会交流が重要になりますので、離婚時には面会交流の方法、頻度、時間などをしっかりと取り決めておきましょう。

もちろん、虐待やDVがあった場合はこの限りではありません。

③子どもが経済的にも安定できるように努める

離婚により経済的な余裕がなくなるのは仕方ありませんが、それでもできる限り安定した生活が送れるよう努めるようにします。

進学、習い事、生活費などで不便な思いをさせると子どものストレスも大きくなってしまいます。それを避けるには、養育費を適正な額で定める、公的な支援制度を利用するなどの方法も考えられますので、自分で判断ができないときは、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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4.離婚でお悩みなら弁護士へ

離婚による子どもへの影響を考えると、なかなか離婚に踏み切れないという方も多いかもしれません。
しかし、夫婦喧嘩が絶えず起こっているなど、離婚をしないことがかえって子どもに悪影響を及ぼすケースもあります。

離婚のタイミングを見計らい、離婚後も子どもをしっかりケアするならば、離婚による子どもへの影響・ストレスを最小限に抑えることができます。

弁護士は、子どもの利益を第一に考えて、離婚に関するアドバイスをすることが可能です。
離婚時の条件の取り決め(親権・養育費・面会交流など)や、離婚後の経済的な問題などに不安があっても、弁護士のサポートがあれば安心です。

子持ち夫婦の離婚でお悩みの方は、あたらし法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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