離婚と別居、どちらにすべきなのか?
夫婦関係に悩んだ時、多くの方が「すぐに離婚した方がいいのか、それともまずは別居すべきか」と迷うことと思います。 感情…[続きを読む]
東京弁護士会所属、千代田区の弁護士事務所。法律相談を承ります。
夫婦が離婚を考える理由にはさまざまものがありますが、その中でも最も多いのが「性格の不一致」です。
性格の不一致が理由の離婚は、決してわがままということはありません。性格の合わない相手と一緒に生活しなければならないのは、想像以上に苦痛を伴うものなのです。
しかし、性格の不一致のみを理由に離婚する場合、それのみでは直ちに法律で定める離婚事由には該当しませんので、裁判では離婚ができない可能性があります。
今回は、性格の不一致を理由とする離婚について解説します。
目次
「性格の不一致」とは、性格や価値観、物事に対する考え方などが合わないことをいいます。
より具体例を挙げると、「休日の過ごし方が合わない」「子どもの教育方針が一致しない」「食事やマナーなどの考え方が違う」「親族・友人・家族などの優先度、付き合い方が合わない」などです。
DV、モラハラ、不貞行為など明確な離婚理由がない状況だけど離婚をしたい、という場合は、性格の不一致に分類されることが多いでしょう。
夫婦といっても元々は他人ですので、性格や価値観の相違はどの夫婦にも存在します。
そして、一緒に生活していく中で性格の不一致を感じることが多くなると、一緒にいる時間が苦痛になり離婚を考えるようになってしまうのです。
裁判所が公表している司法統計に基づいて、離婚調停の申立てをした主な理由を男女別にまとめると、以下のようになります。
夫 | 妻 | |
---|---|---|
1位 | 性格が合わない(9103人) | 性格が合わない(1万5835人) |
2位 | 異性関係(1817人) | 暴力を振るう(7711人) |
3位 | 浪費する(1748人) | 異性関係(5362人) |
4位 | 性的不調和(1592人) | 浪費する(3550人) |
5位 | 暴力を振るう(1320人) | 性的不調和(2642人) |
参考:令和5年度 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別
男性側および女性側ともに離婚理由の第1位は「性格が合わない」=性格の不一致が挙げられています。
このことからも、性格の不一致を理由に離婚を考える夫婦が多いことがわかるでしょう。
また、性格の不一致に隠された離婚の本当の理由として、不倫やDV、モラハラなどが併発しているケースもあります。
そもそも、性格の不一致を理由に離婚することができるのでしょうか。
性格の不一致を理由とする離婚であっても、お互いの話し合いの結果として離婚の合意に至ったときは離婚することができます。
そのため、性格の不一致で離婚をする場合、まずは夫婦で離婚の話し合いを行い、離婚に応じてくれるよう相手を説得していく必要があります。
夫婦の話し合いで離婚の合意に至ったときは、離婚届を提出することで離婚成立となります。このような方法を「協議離婚」といいます。
他方、夫婦の話し合いでは離婚の合意に至らないときは、家庭裁判所に離婚調停の申立てが必要になります。
離婚調停も基本的には話し合いの手続きになりますので、調停での話し合いの結果として離婚の合意に至れば、性格の不一致が離婚理由であっても離婚することができます。
このように、性格の不一致のみを理由に離婚をするのであれば、協議離婚や調停離婚の成立を目指していくことになります。
特に子どもがいない場合は、比較的スムーズに性格の不一致についての離婚が成立する場合が多いように思われます。
一方、未成年の子どもがいる場合は、「子どもが可哀想だから」と離婚を拒否されることがあるかもしれません。
相手が競技や調停で離婚に応じない場合は、最終的に裁判所に離婚訴訟を提起することになります。
離婚訴訟では、裁判所が離婚の可否を判断しますが、その際には以下の法定離婚事由のいずれかに該当する事情がなければ離婚することはできません。
性格の不一致は、上記の法定離婚事由のいずれにも該当しませんので、性格の不一致のみでは裁判離婚をするのは困難といえます。
ただし、性格の不一致を理由とする離婚であっても、長期間別居をしており夫婦関係が修復不能なほど破綻していると評価できる場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性もあります。
離婚により精神的苦痛を被ったときは、相手に対して慰謝料を請求することができます。
ただし、離婚慰謝料は不法行為(民法709条)に基づいて請求することになりますので、慰謝料請求が認められるためには、相手にDVや不貞行為などの有責性がなければなりません。
離婚理由が性格の不一致である場合、夫婦のどちらか一方に明確な非があるわけではありませんので、有責性は認められず、原則として慰謝料を請求することはできません。
つまり、性格の不一致を理由とする離婚での慰謝料に相場はなく、0円になる可能性が高いと考えておくべきです。
もちろん、性格の不一致以外にも不倫やDV、モラハラが発生していたならば、有責性が認められ、慰謝料請求は可能です。
性格の不一致が理由の離婚の場合、慰謝料ではなく「解決金」を取り決めることもあります。解決金とは、離婚問題の早期解決を図るために支払われる金銭のことです。解決金の金額は、当事者間の話し合いで決定されます。
性格の不一致は法定離婚事由にはありませんので、話し合いで離婚の合意が取れなければ離婚をすることは難しいです。
しかし、離婚手続きの迅速化や円満解決を目的とする解決金を任意で支払うことで、相手方が離婚に応じる可能性が出てきます。
このように、解決金により、離婚調停や裁判を回避して早期に離婚が成立すれば、当事者の精神的負担の軽減にも繋がります。
離婚の際には、財産分与や養育費(子どもがいる場合)などについても取り決めなければなりません。
性格の不一致により、財産分与の割合や養育費の金額が変動するということはありません。
財産分与の割合は2分の1となるのが原則ですが、夫婦間の合意により割合を変動させることも可能です。
また、養育費の金額は、裁判所が定める「養育費算定表」(標準算定方式)に従って計算するのが通例となっています。
性格の不一致を理由に離婚する場合は、大きな法的なトラブルは発生していないと思われがちです。
しかし、以下のような理由から、性格の不一致による離婚も弁護士に依頼するのがおすすめです。
性格の不一致を理由に離婚をする場合、基本的には法定離婚事由に該当しませんので、裁判離婚ではなく協議離婚または調停離婚の成立を目指していくことになります。
しかし、性格の不一致以外にも離婚理由がある場合、その内容によっては法定離婚事由に該当する可能性があります。
法定離婚事由に該当する事情があるかどうかによって、今後の離婚の進め方が変わってきますので、まずは弁護士に相談して法定離婚事由の有無を判断してもらうとよいでしょう。
夫婦が離婚する場合、まずは相手と離婚の話し合いを行う必要があります。
しかし、性格の不一致を理由に離婚をするケースでは、そもそも相手と顔を合わせて話をすること自体が苦痛に感じる方も多く、当事者同士の話し合いが困難な場合もあります。
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人として相手と交渉をしてくれます。これにより精神的な負担を大幅に軽減できるとともに、有利な条件で離婚できる可能性も高くなります。
自分だけでは離婚の話し合いを進めるのが難しいと感じるときは、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
話し合いにより離婚の合意に至ったときは、合意に至った離婚条件などを書面にまとめる必要があります。このような書面を「離婚協議書」といいます。
離婚届の記入および提出により離婚は成立しますので、離婚協議書を作成しなくても離婚自体は可能です。
しかし、養育費や財産分与などの離婚条件を定めた場合、口頭による合意だけでは後でトラブルになる可能性があります。
弁護士に依頼すれば将来のトラブルを防ぐための離婚協議書の作成をサポートしてもらうことができます。
また、養育費や財産分与の支払いをより確実なものにするための公正証書の作成もサポートしてもらうことができます。
「性格の不一致が辛いけど、子どもが可哀想だから離婚を我慢しよう」と考える方は多いのですが、性格の不一致自体は夫婦が離婚する理由で最も多いものになります。
しかし、性格の不一致という理由だけでは法定離婚事由には該当しませんので原則として裁判離婚はできず、慰謝料請求をすることもできません。
そのため、基本的には話し合いによる離婚を目指すことになりますが、相手を説得するには専門家である弁護士のサポートが有効になります。
後悔しないためにも、性格の不一致での離婚をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
あたらし法律事務所は、性格の不一致をはじめ様々なパターンの離婚トラブルを解決してきた実績があります。お困りの方は、ぜひ一度初回無料相談(来所30分)をご利用ください。
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