弁護士から手紙・遺産分割協議書が突然届いたら
ある日突然、相続人の代理人を名乗る弁護士から手紙や遺産分割協議書が届くことがあります。 参考)遺産分割協議書の概要に…[続きを読む]
東京弁護士会所属、千代田区の弁護士事務所。法律相談を承ります。
相続の話し合いを進めている最中に、突然、相手方から「今後は弁護士を通してください」と連絡が来たら、驚いてしまう方も多いのではないでしょうか。
「この先、自分だけで対応できるのか」「訴訟・裁判になるのでは」と不安を感じるかもしれません。
もちろん、相手方が弁護士をつけたからといって、必ずしもこちら側もすぐに弁護士に依頼しなければならないわけではありません。
しかし、相手に専門家がついている以上、冷静で適切な対応をするためにも、弁護士への相談を検討する価値は大いにあります。
今回は、相続問題・相続トラブルで相手方が弁護士を代理人に立てた場合の注意点と、こちら側も弁護士をつけるべきかどうかについて詳しく解説します。
なお、相手方相続人の代理弁護士から手紙や遺産分割協議書が届いた場合にしてはいけないこと・するべきことについては、以下のコラムをご覧ください。
目次
相続問題で相手が弁護士を代理人に選任する理由としては、いくつかの事情が考えられます。
相続をめぐる話し合いは、親族間の感情が絡むため長期化しやすい傾向があります。
いつまでも協議が進まない状態では、預貯金の引き出しができないなど、相続人の生活や手続きに支障をきたすケースも出てきます。
このような場合、専門家を間に入れることで複雑化している問題を整理できますので、早期解決を目指すために弁護士に依頼することは少なくありません。
弁護士が介入することで、当事者間では伝えにくかった内容も明確化され、問題解決の道筋が立てやすくなるのです。
協議が平行線をたどり、話し合いによる解決が難しいと感じたときには、弁護士に相談することが多くあります。
代理人として交渉を一任することで、自分自身が直接相手とやり取りする精神的負担を減らすとともに、問題の突破口を開こうとするのです。
弁護士に依頼することで、相手方には次のような利点があります。
このように、弁護士を立てることは、相続問題の解決に向けた有効な手段であると認識しているからこそ、相手方も弁護士への依頼を選択するのです。
弁護士という第三者が入ることで冷静な話し合いができるようになるため、解決が早まるケースは多く見られます。
とはいえ、相手方が専門家を立てる以上、こちらにとって不利な条件で話が進む可能性もゼロではないため、注意が必要です。
相手方が弁護士を代理人に選任したと伝えてきた場合、こちら側はどのように行動すればよいのでしょうか。
弁護士が正式に代理人となった場合、交渉や連絡はその弁護士を窓口として行うのが原則です。
相手方本人に直接連絡を取ろうとしても、「代理人(弁護士)に連絡してください」と案内されることがほとんどでしょう。
本人に直接連絡することで即座に法的ペナルティがあるわけではありませんが、代理人を無視して交渉しようとするとトラブルが悪化する可能性があるため、これは避けるべきです。
弁護士がつくと、相手方の主張も法的根拠に基づいたものになります。こちら側が「なんとなく納得できない」「気持ち的に嫌だ」など感情だけで反論しても、法律論としては認められません。
法的裏付けのない主張ばかりしていると、相手方代理人から交渉での解決は困難と判断され、調停申立てをされるリスクが高まります。
相手方に弁護士がついたと聞くと、「こちらに不利な条件を突きつけられるのでは?」と不安になる方も多いはずです。
しかし、弁護士は法律に則って交渉を行う立場にあり、根拠のない要求や過大な請求をすることは基本的にありません。むしろ、もし相手方相続人の意向に無理があれば、代理人である弁護士が現実的に妥結できることを踏まえた提案をしてくることが一般的です。
そのため、相手方に弁護士がついたからといって過剰に恐れる必要はありませんが、冷静かつ慎重に対応することは重要です。
相手方が弁護士を立てた場合、こちら側も弁護士に依頼すべきか悩む方は多いでしょう。
以下では、弁護士を立てるメリットと立てない場合のリスクをまとめます。
相手方が弁護士を代理人に立てた場合、こちら側も弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。その理由は以下のとおりです。
相手に弁護士がついている状況で、こちら側が一人で対応すると、法律知識の差から不利な立場に置かれてしまいます。
こちらも弁護士に依頼すれば、法的知識を背景に対等な交渉ができ、不必要な妥協をするリスクを抑えることができます。
親族間の問題である相続では、どうしても感情的になりがちです。
弁護士が間に入ることで、感情に左右されることなく、法律に基づいた冷静な対応が可能になります。
相続問題には、遺留分侵害額請求や寄与分、特別受益など、一般の方には難解な論点が多く含まれます。
弁護士に相談すれば、複雑な仕組みや自分にとって有利な主張をわかりやすく解説してもらえるため、安心して手続きを進められます。
一方、相手方に弁護士がついているにもかかわらず、こちら側が弁護士を立てない場合には、以下のようなデメリット・リスクがあります。
相手方弁護士は、依頼者である相手方にとって最善となるよう交渉を進めます。
こちら側が法律知識に乏しいと、相手方の主張をそのまま受け入れてしまい、本来得られるはずの権利が得られないおそれがあります。
弁護士が作成する書面や主張には、法的根拠や判例が組み込まれています。
こちらに知識がないと、それが妥当かどうか判断できず、適切に反論できない可能性があります。
相続では、寄与分や特別受益、遺留分などを正しく主張しないと、本来受け取れるはずの財産を取り損ねてしまいます。
弁護士なしで手続きを進めた結果、取り返しのつかない損失を被る可能性があるのです。
相手方が弁護士をつけたからといって、必ずしもトラブルが激化しているとは限りません。弁護士が介入することで、むしろ感情的な対立が避けられ、解決に向かいやすくなる側面もあります。
しかし、相手方が弁護士を代理人に立ててきたと聞くと、強い不安を感じてしまうことでしょう。
相手に弁護士がついている以上、こちら側も同じく法的知識を持つ専門家にサポートを依頼することが、自分の権利や財産を守るうえで重要です。
不利な条件で合意してしまわないためにも、相続問題に強い弁護士への相談を検討してみてください。
遺産相続問題・遺産分割のトラブルなどについては、あたらし法律事務所にお任せください。
〒102-0094
東京都千代田区紀尾井町3-30
紀尾井町山本ビル5F
東京メトロ「麴町」駅1番出口より徒歩約5分
東京メトロ「永田町」駅5番・9番・7番出口より徒歩約5分
東京メトロ「赤坂見附」駅D番出口より徒歩約8分
東京メトロ「半蔵門」駅1番出口より徒歩約8分
JR「四ツ谷」駅麹町口より徒歩約14分