相続・遺留分

大切な家族・親族の死を悼み、受け入れ、静かな日々を過ごしたい。 残された家族・兄弟・親族で、これからも仲よく生きていこう。

そう思っていた筈なのに、遺産相続問題をきっかけに、いがみ合い、罵倒し合い、骨肉の争いへ発展・・・ 困り果てて相談にいらっしゃる方は、少なくありません。

  • 「うちは、そんな財産はないから、大丈夫。」
  • 「お金持ちの話でしょ。」
  • 「兄弟仲は良いので、安心だわ。」

そう思っていませんか? しかし、ご相談にいらっしゃる多くの方が、おっしゃいます。

  • 「まさか、こんなことになるとは、思わなかったんです。」
  • 「財産も多くないし、こうしたトラブルとは無縁だと思っていました」

これまで、当事務所では、様々な相続問題を扱ってきましたが、相続問題の深刻さと財産の多さは、比例しません。 誰にでも起こりうる問題なのです。

そして、親族・血縁関係という、近い仲だからこそ、衝突した時に、激しくなりがちです。 感情をあらわにしやすく、思いのままストレートに言いやすいのでしょう。

また、以前からの小さな不満の積み重ねが、遺産相続問題をきっかけに爆発する、ということも多いようです。

相続・遺留分の事件は、長年の経緯等により、深刻な対立関係になる場合が少なくありません。

また、ひとつとして同じケースはなく、その財産状況、相続人の人数や関係等がからみあいますので、その場合場合で、適切な判断をすることが大切です。

当事務所は、相続・遺留分事件を多数経験していることから、相続手続のサポートから、遺産分割協議の交渉・調停・審判、遺留分侵害額請求の交渉・調停・訴訟に至るまで、相続・遺留分事件に強力にバックアップしていきます。

また、寄与分・特別受益の問題、事業承継の問題、相続人がいない場合の問題(相続財産清算人の選任申立・特別縁故者に対する相続財産分与)にも対応しております。

相続税の申告手続を行う必要がある場合には、税理士の紹介も行っています。

遺産相続問題に直面したら、まずは弁護士にご相談下さい。

相続に弁護士が必要な理由については、下記ページもご参照ください。 【関連記事】相続に弁護士が必要な理由

相続手続の流れを確認しておきましょう。

1. 遺言書の有無を確認します

ⅰ)遺言がある場合

遺言があれば、遺言に従って遺産を分割することが可能です(遺言のページはこちら)。

但し、公正証書遺言(遺言の内容を公証人の前で述べて、公正証書として作成する遺言)以外の遺言、例えば自分で作る遺言(自筆証書遺言)の場合には、家庭裁判所で相続人立ち会いの上で、検認手続をする必要があります。

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人立ち会いの上で、開封する必要があります。

なお、遺言中に、遺言執行者の定めがある場合には、遺言執行者にその後の手続をしてもらうようにします。

ⅱ)遺言がない場合

遺言がない場合には相続人間で遺産分割協議をする必要があります。

2. 相続人が誰かを調べます

相続人の範囲については、過去にさかのぼって亡くなった方の戸籍謄本や、除籍謄本等を入手する必要があります。相続人が多数の場合、相続人の所在が不明な場合、亡くなった方が本籍地を転々としていた場合には、戸籍謄本の入手がかなり大変になる場合があります。

3. どのような相続財産があるのか調べます

相続財産に不動産がある場合には、不動産登記簿謄本を入手する必要があります。

また、預貯金がある場合には、残高証明書を取り寄せます。

4. 遺産に借金などの債務があるかどうかを確認します

相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内であれば、場合によっては、家庭裁判所に相続放棄の申述をした方がいい場合があります。

また、相続放棄は、プラスの相続財産も全て手放すことになりますので、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を放棄するという相続の限定承認の申述を家庭裁判所にする場合もあります。

相続放棄の申述期間が過ぎた場合には、債権者との間で債権額や支払方法について個別に示談交渉をする必要もでてきます。

5. 遺留分を確認します

子供と配偶者が相続人などの場合には、亡くなった方の財産の2分の1にあたる遺産を受ける権利があり、父と母のみが相続人の場合には、亡くなった方の財産の3分の1にあたる遺産を受ける権利があり、それを遺留分といいます。

一部の相続人に全遺産を配分されている遺言がある場合や生前贈与がなされている場合には、遺留分が侵害されている可能性があります。その場合には遺留分侵害額請求をすることもできます。

遺留分侵害額請求は、当事者間で協議により解決する場合もありますが、当事者間での協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申立てします。

なお、中小企業の株式の承継に関しては、遺留分と事業承継対策のコラムをご覧ください。

こちらもご覧ください: 【参考コラム】 ①「遺留分減殺請求の改正について」「遺留分を侵害された場合の対処法は?」

6. 遺産分割協議書を作成します

遺産に関して相続人間で話し合い、合意が成立した場合には、遺産分割協議の内容を明確化するために遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、以下の事項を明記し、住所・氏名・捺印を忘れないようにします。

なお、当事者間で協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申立てすることになります。

  1. 誰がどの遺産を取得するのか。
  2. 今後発見した遺産をどのように分割するのか。
  3. 誰が祭祀を承継するのか。
  4. 印鑑証明書や住民票の記載どおりの住所と氏名を表記し、実印を押印する。

7. 遺言書もないし相続人もいないが遺産がある場合

相続人が存在しない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合、あるいは相続人が存在しないことが不明な場合、相続財産をどのように管理したらいいでしょうか?

この場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立をします。

また、亡くなった方と特別の縁故があった方の請求により、相続財産の全部または一部を分与することが可能な場合があります。 (特別縁故者に対する相続財産分与

※2019年7月1日施行の相続法の改正により、特別寄与料の支払い請求に関する制度もできました。特別縁故者の制度は、相続人がいない場合に限られますが、特別寄与者は、6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族が、相続人に対し、特別の寄与料を請求する制度です。

8. 遺産分割前の預金払戻し

2019年7月1日、遺産分割前の相続預金の払戻し制度が施行されました。

相続預金は、平成28年の最高裁判決により、遺産分割の対象とされ、遺産分割前に相続人が単独で預金の払い戻しができないことになりました。

しかしながら、これでは、当面の生活費や葬儀費用の支払いが必要な場合など資金需要がある場合に不便です。

そのため、相続預金のうちの一定額については、遺産分割協議前であっても、金融機関からの預金払い戻しができるようになりました。

具体的には、各預貯金口座の預貯金の3分1に、共同相続人の相続分を乗じた額が払戻が可能になります。

つまり、法定相続人が4人の場合は、各預貯金の1/3×1/4=1/12の預貯金額の払戻が可能です。

ただし、相続人1名、金融機関1社あたりの限度額が150万円とされています。

なお、以上は、裁判所の手続を経ないでも、所定の書類さえあれば、利用が可能なのですが、家庭裁判所の判断のもと、仮払いを認める制度も新設されております。

※遺産分割前の預金払戻制度は、施行日が2019年7月1日ですが、2019年7月1日より前の相続についても利用することが可能です。

9.相続・遺留分についてのよくある質問(FAQ)

遺産の使い込みにはどう対処したらいい?

相続では、被相続人と同居していた相続人が預貯金を引き出していたなど、遺産の使い込みが疑われることがあります。

もし、疑義を持たれた相続人が使い込みを認めれば、遺産分割協議での解決も可能ですが、認めなければ、裁判を提起することになります。

詳しくは、弁護士にご相談ください。

遺留分とはどんなもの?侵害されたらどうすればいい?

遺留分とは

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に、一定割合の相続財産を保障する法律上の制度です。

被相続人と相続人との関係によって、遺留分は次のように異なります。

相続人 遺産に占める遺留分割合 相続人の遺留分
配偶者 子供 父母 兄弟姉妹
配偶者のみ 1/2 1/2
配偶者と子供 1/2 1/4 1/4
配偶者と父母 1/2 2/6 1/6
配偶者と兄弟姉妹 1/2 1/2 なし
子供のみ 1/2 1/2
父母のみ 1/3 1/3
兄弟姉妹のみ なし なし

なお、子供が複数名いる場合や、父母が2人ともご存命の場合には、「相続人の遺留分」を頭数で応分すると、各相続人の遺留分となります。

遺留分侵害額請求は弁護士にご相談ください

遺言書・贈与・遺贈などによって遺留分を侵害された相続人は、侵害者に対して遺留分侵害額請求をすることができ、請求された侵害者は、遺留分相当の金銭を支払わなければなりません。

しかし、遺産に不動産などが含まれていると、遺留分の額を算出するにあたり、遺産をどのように評価するかで当事者同士の意見が衝突してしまうことがあります。

遺留分侵害額請求権は、「相続の開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年間」行使しなければ時効によって消滅します(民法1048条)。

遺留分侵害額請求については、相続に強い弁護士にご相談することをお勧めします。

10. 当事務所での解決事例

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11. 相続・遺留分問題の弁護士費用のめやす

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