共同親権とは|法改正はいつ?メリットとデメリット【2024年最新】
2024年1月30日、法制審議会は、離婚後の共同親権の導入に向けた民法改正の要綱案の取りまとめを行いました。 そして…[続きを読む]
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2026年4月施行予定の民法改正により、離婚後の「親権」のあり方が大きく変わります。
これまで日本では、離婚すると父母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」が原則でした。しかし、今回の改正によって、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選択できる制度が導入されます。
すでに離婚をした人、これから離婚を考えている人にとって重要な改正ですので、共同親権導入でどのような変化があるのかをしっかりと押さえておきましょう。
本記事では、2026年4月の民法改正によって親権制度がどのように変わるのかをわかりやすく解説します。
共同親権の基本的な概要については、以下のコラムをご覧ください。
目次
2026年4月の民法改正によって、離婚後の「親権」の仕組みは大きく変わります。
まずは、これまでの制度と何が違うのかを整理しながら、「共同親権」がどのような制度なのかを見ていきましょう。
これまでの制度では、離婚後の親権は必ず父母のどちらか一方に定めなければなりませんでした。これがいわゆる「単独親権」です。
離婚届には親権者を一人記載する必要があり、協議で決まらない場合は家庭裁判所がどちらを親権者とするかを判断します。
その結果、親権を持たない親は、法律上、以下のような子どもの重要な決定に関与することができませんでした。
このような場面では、原則として親権者が最終的な決定権を持つことになります。
もちろん、親権を持たない親であっても、面会交流をする権利や養育費を支払う義務はあります。しかし、「法的な決定権」という点では、一方の親に集中する仕組みとなっていました。
2026年4月の民法改正により、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選択できるようになります。
改正後は、離婚時に「単独親権」か「共同親権」かを選べるようになります(父母で話し合って決まらない場合は家庭裁判所が判断します)。
ここで大切なのは、共同親権が原則になるわけではないという点です。あくまで「選択制」であり、父母の関係性や子どもの状況に応じて決められます。
父母が一定程度協力できる関係にある場合には、共同親権により離婚後も双方が関与しながら子育てを続ける選択肢が広がります。
一方で、夫婦間の強い対立が続いている場合や、DV・虐待などで安全面に不安がある場合には、単独親権が相当と判断されることもあります。
今回の改正は、「どちらか一方に決める」しかなかった制度から、「子どもにとってより適切な形を選べる制度」へと変わる点に大きな意味があるといえるでしょう。
共同親権を選んだ場合、具体的に何が変わるのでしょうか。
「すべてを常に話し合わなければならないのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃいますが、実際の仕組みはもう少し整理されています。以下では、実務上特に重要になるポイントを見ていきます。
共同親権では、子どもにとって重要な事項については、父母が話し合って決めるのが原則となります。
これまでの単独親権では、最終的な決定権は一方の親にありました。しかし、共同親権では原則として双方の合意が必要になります。
一方で、日常的な子育ての場面まで毎回協議が必要になるわけではありません。
このような「日常の監護」に関する事項は、実際に子どもと生活している親が単独で判断できます。
共同親権を選択した場合、重要事項について父母の意見が対立して結論が出ない、という事態が生じる可能性があります。
そのような場合には、家庭裁判所に申し立てを行い、特定の事項について親権を行使する人を指定してもらうことができます。これにより意思決定が停滞して子どもに不利益が生じる事態を避けることができます。
裁判所は、「子どもの利益」を基準にしながら、どちらの意見を優先すべきか、どちらがその事項を決定するのに適任であるかを判断します。
共同親権が導入されることで、「面会交流は増えるの?」「養育費はどうなるの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
共同親権になったからといって、親子交流の回数や方法・手段が自動的に増えるわけではありません。
面会交流はこれまでも、そして改正後の親子交流も、「子どもの利益」を基準に決められます。親の希望だけで回数や頻度が決まるものではなく、子どもの年齢、生活状況、父母の関係性などを踏まえて具体的に調整されます。
ただし、今回の民法改正の背景には、「離婚後も父母双方が子どもの養育に関与する」という考え方があります。そのため、父母が協力できる関係にある場合には、親子交流をより安定的・継続的に行う方向で検討されるケースが増える可能性はあります。
もっとも、強い対立がある場合や、子どもの安全に不安がある場合には、親子交流の制限や間接交流(オンライン面会など)が選択されることもあります。
共同親権だから親子交流が必ず拡大する、という単純な関係ではない点に注意が必要です。
養育費の支払い義務は、共同親権でも単独親権でも変わりません。
親権の有無にかかわらず、父母は子どもを扶養する義務を負っています。そのため、「共同親権になれば養育費を払わなくてよい」ということはありません。
今回の改正では、養育費の履行を確保するための制度整備も進められており、養育費の取り決めを明確にし、支払いを確実にする仕組みの強化が図られる予定です。
実務上は、「離婚時に養育費を具体的に定めておくこと」「公正証書などで合意内容を明確にしておくこと」が重要になります。
共同親権か単独親権かにかかわらず、養育費は「子どもの生活を支えるためのもの」です。制度の変更に関係なく、安定的な支払い体制を整えることが大切です。
「いったん決めた親権は、もう変えられないのでは?」と考えている方も少なくありません。しかし、結論からいえば、離婚後であっても親権者の変更は可能です。
もっとも、簡単に変更できるわけではなく、一定の条件が必要になります。
改正後の共同親権を前提とすると、親権者の変更には以下のような3つのパターンが考えられます。
いずれの場合も、家庭裁判所に申立てをすることで親権者を変更することができます。
離婚時には当事者の話し合いで親権者を決めることができますが、「変更」の場面では当事者の話し合いだけでは足りず、必ず裁判所の関与が必要になります。
親権者の変更が認められるためには、以下のような「事情の変更」があることが前提となります。
当然ですが、「やはり自分が親権を持ちたい」「気持ちが変わった」「なんとなく不安になった」といった理由だけでは、変更は認められません。
離婚時に親権をどう定めるかは、その後の生活に大きく影響します。将来の変更が簡単ではないことも踏まえ、離婚時点で慎重に検討することが重要です。
民法改正によって共同親権が選択できるようになりますが、「共同親権のほうが良い」「単独親権のほうが安心」と一概に言えるものではありません。
大切なのは、ご自身の状況や子どもの環境に照らして、現実的に機能する制度かどうかを見極めることです。
共同親権が比較的適していると考えられるのは、たとえば以下のようなケースです。
このような場合には、離婚後も父母が役割を分担しながら関与し続けることで、子どもにとって安心感につながる可能性があります。
一方で、以下のような事情がある場合には慎重な検討が必要です。
共同親権では重要事項について協議が必要になるため、関係が著しく悪化している場合には、かえってトラブルの原因になるおそれがあります。その結果、子どもが板挟みになってしまうケースも考えられます。
共同親権という言葉だけを見ると、「両親が平等に関わる良い制度」あるいは「DVや虐待をしていた親まで親権を持つ危険な制度」という一辺倒の印象を持つかもしれません。
しかし、制度はあくまで枠組みにすぎません。実際に機能するかどうかは、父母の関係性やコミュニケーション能力に大きく左右されます。
また、離婚時は感情が強く動いている時期でもあります。親権については、将来の生活を具体的にイメージしながら考えることが重要です。
親権は、親の勝ち負けを決める制度ではありません。もっとも大切なのは、子どもが安定した環境で安心して成長できることです。
迷ったときは、感情だけで決めず、法的な見通しや将来のリスクも含めて整理しておくことをおすすめします。
なお、離婚後の親権変更には事情の変更が必要であり、簡単に認められるものではありませんので、離婚時に共同親権・単独親権のどちらを選択するかはやはり慎重な判断が求められます。
制度の内容を正しく理解し、後悔しない選択をするためにも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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