公開日:

非公開株式を含む相続・事業承継紛争は弁護士に相談を

非公開株式を含む相続・事業承継紛争は弁護士に相談を

親が経営していた会社の相続で、「非公開(非上場)株式」を引き継ぐことになり、困っていませんか?

「誰が会社を継ぐのか」「株式の価値はいくらなのか」「会社経営には関わりたくないが、相続税の負担はどうなるのか」など、非公開株式を含む相続ではさまざまな悩みが生じます。

非公開株式は、預貯金のように簡単に分けることができません。株価評価が難しく、譲渡制限により自由に売却できないケースもあります。
そのため、相続人同士の対立や経営権をめぐる争いに発展することも少なくありません。

非公開株式を含む相続・事業承継では、早い段階で状況を整理し、適切な対応を検討することが重要です。

本コラムでは、非公開株式の相続が揉めやすい理由やよくあるトラブル、ケース別の対応ポイント、弁護士に相談するメリットについてわかりやすく解説します。

なお、会社の経営を担う社長が亡くなった時の相続手続き・事業承継の全般については、以下のコラムで解説しています。

関連記事
会社社長(経営者)が亡くなった時の相続手続
会社オーナーである経営者が亡くなると、相続人の間で「事業を継続するのか」、継続するとすれば「誰が事業を相続するのか」…[続きを読む]

1.非公開(非上場)株式の相続が揉めやすい理由

非公開(非上場)株式を含む相続では、親族間のトラブルに発展するケースが少なくありません。
預貯金のように簡単に分けられず、「誰が会社を継ぐのか」という経営の問題も絡むためです。

まずは、非公開株式の相続が揉めやすい理由を見ていきましょう。

1-1.非公開株式とは?上場株式との違い

非公開株式(非上場株式)とは、証券取引所に上場していない会社の株式をいいます。中小企業や同族会社の多くが該当します。

上場株式であれば、市場価格があり、証券会社などを通じて自由に売買できます。そのため、価値がわかりやすく、現金化もしやすいといえます。

一方、非公開株式には市場価格がありません。そのため、「いくらの価値があるのか」がすぐにはわからないという特徴があります。

また、非公開会社では、株式に「譲渡制限」が付いていることも少なくありません。
譲渡制限とは、株式を第三者へ譲る際に会社の承認が必要となる仕組みです。相続したとしても、自由に売却できないケースがあります。

このように、非公開株式は上場株式と異なり、「価値が見えにくい」「自由に処分しにくい」という特徴があります。

1-2.非公開株式の相続は「預金や不動産」と違って難しい

非公開株式の相続では、単に財産を分けるだけでは済まないケースが少なくありません。

たとえば、預貯金であれば金額に応じて分けやすく、不動産であれば売却や代償金などの方法を検討できます。

しかし、非公開株式では、次のような問題が同時に生じやすくなります。

  •  誰が会社を引き継ぐのか
  •  株価をどのように評価するのか
  • 他の相続人との公平性をどう保つのか
  • 相続税の負担をどうするのか

特に、後継者へ株式を集中させたい場合、他の相続人から「不公平ではないか」と反発が生じることがあります。
一方で、経営に関わる予定がない相続人が、株式だけ相続して相続税負担に悩まされるケースもあります。

このように、非公開株式の相続は、財産分配だけでなく、経営や税金の問題まで絡む点が難しいところです。

2.非公開株式の相続で実際に起こりやすいトラブル

非公開株式の相続では、経営権や株価評価などをめぐって争いになるケースがあります。
ここでは、実際によくあるトラブルを見ていきましょう。

2-1.誰が株式を相続するかで揉める

非公開株式の相続で特に多いのが、「誰が会社を継ぐのか」をめぐる対立です。

たとえば、長年会社で働いてきた後継者候補が「自分が経営を引き継ぐべき」と考える一方、他の相続人が「株式は公平に分けるべきだ」と主張することがあります。

後継者に株式を集中させれば、経営の安定につながりやすくなります。しかし、その分、他の相続人から「不公平だ」と不満が出ることも少なくありません。

反対に、株式を複数の相続人で分けると、会社の重要事項について意見が対立し、経営判断に支障が出る可能性があります。

相続人同士の関係が悪化すると、会社経営そのものに影響が及ぶケースもあるため注意が必要です。

2-2.株価の評価額をめぐって争いになるケース

非公開株式では、「株式の価値がいくらなのか」で争いになることもあります。

上場株式であれば市場価格がありますが、非公開株式には明確な相場がありません。そのため、評価方法によって金額が大きく変わることがあります。

たとえば、相続税の計算では、会社の規模などに応じて「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」などが用いられます。

もっとも、遺産分割では必ずしも税務上の評価額がそのまま採用されるわけではありません。
後継者側は「株価は低い」と主張し、他の相続人は「もっと価値があるはずだ」と反発するなど、評価額をめぐる対立が生じやすい傾向があります。

2-3.遺留分との関係で紛争になるケース

後継者へ株式を集中させたい場合でも、他の相続人の「遺留分」が問題になることがあります。

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分のことです。
たとえば、遺言で「会社の株式はすべて長男に相続させる」と指定されていたとしても、他の相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。

後継者としては会社経営を安定させたい一方で、他の相続人は「最低限の取り分は確保したい」と考えるため、感情的な対立に発展しやすい場面です。

遺留分の問題を見落としたまま事業承継を進めると、後から大きな紛争につながることがあります。

関連記事
事業承継
遺留分を考慮した事業承継対策
中小企業の経営者にとって、事業承継は、いつかは考えなければならない問題です。経営者が高齢になってからでは、事業承継の…[続きを読む]

2-4.経営に関わらない相続人に相続税負担だけが生じるケース

非公開株式の相続では、「会社はいらないのに税負担だけが重い」という問題が起こることがあります。

たとえば、相続人が会社経営に関わる予定はなく、株式を保有するつもりもない場合でも、相続した以上は相続税が発生する可能性があります。

特に、会社の業績や資産状況によっては、換金しづらい非公開株式にも高い評価額が付くことがあります。

しかし、譲渡制限があるため自由に売却できず、「現金がないのに税金だけ払わなければならない」と悩むケースも少なくありません。

経営に関わる意思がない相続人ほど、早い段階で対応方針を検討することが重要です。

2-5.譲渡制限があり自由に処分できないケース

非公開会社では、株式に譲渡制限が付いていることが多くあります。
そのため、「相続したが不要なので売却したい」と考えても、買い手が見つからない、見つかっても会社が承認してくれない、会社が買い取ることになっても価格で折り合いがつかないなど、思うように処分できないケースがあります。

「いらない株式だからすぐ手放せる」と考えていると、思うように処分できずトラブルになる可能性もあるでしょう。

3.【ケース別】非公開株式を相続したときの対応ポイント

非公開株式を相続した場合、取るべき対応は立場によって異なります。
「会社を引き継ぎたい」のか、「経営には関わりたくない」のかで、重視すべきポイントが変わるためです。

ここでは、ケース別の対応ポイントを解説します。

3-1.会社の経営権を取得したい場合

会社を引き継ぐ予定がある場合は、できるだけ株式を集中させる方向で検討することが重要です。

株式が複数の相続人に分散すると、経営判断が進みにくくなったり、親族間の対立が経営に影響したりするおそれがあるからです。

このような理由から、後継者が株式を取得し、他の相続人には代償金を支払う方法(代償分割)が検討されることも少なくありません。

もっとも、後継者だけが多くの財産を取得すると、他の相続人から不公平感を持たれ、遺留分の問題に発展することもあります。

会社経営の安定と相続人間の公平性のバランスを取りながら、遺産分割の進め方を考えるようにしましょう。

3-2.経営に関わるつもりがない場合

会社経営に関わる予定がない場合は、「株式を持ち続けるべきか」を慎重に考える必要があります。

非公開株式は、譲渡制限があるケースが多く、上場株式のように簡単に売却できません。
また、株式を保有していると、相続税負担が生じる一方で、すぐに現金化できないケースもあります。

そのため、「会社経営には関わらない」「経営権争いに巻き込まれたくない」という場合には、後継者による買取りや、代償金を受け取る形での遺産分割を検討することがあります。

ただし、株価評価によって受け取る金額が大きく変わることもあるため、「言われるまま合意する」のは避けた方がよいでしょう。

特に、後継者側から提示された評価額に納得できない場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

4.非公開株式を含む相続・事業承継で弁護士に相談するメリット

非公開株式を含む相続・事業承継では、株価評価や経営権、遺留分など、専門的な判断が必要になる場面が少なくありません。

対応を誤ると、親族間の対立や経営トラブルにつながるおそれもあります。

そのため、非公開株式を含む相続や事業承継については弁護士に相談することをおすすめします。

4-1.経営権と相続人間の公平性を踏まえて解決策を提案できる

非公開株式の相続では、「会社経営の安定」と「相続人間の公平性」の両方を考える必要があります。

たとえば、後継者へ株式を集中させた方が会社経営は安定しやすくなります。しかし、他の相続人の取り分が少なくなると、不公平感から紛争につながることがあります。

弁護士へ相談すれば、代償金の支払いや他の遺産との調整なども踏まえながら、状況に応じた解決策を検討できます。

経営を守りながら相続人間の納得感も得られるよう、法的観点から整理できる点がメリットです。

4-2.株価評価や遺留分を見据えた交渉ができる

非公開株式の相続では、「株式の価値をどう考えるか」が争点になることがあります。

評価方法によって株価が大きく変わることもあり、後継者側と他の相続人側で意見が対立するケースも少なくありません。

また、生前に後継者へ株式を集中させる場合には、遺留分への配慮も必要です。十分な検討をしないまま進めると、後から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

弁護士へ相談することで、株価評価や遺留分の問題を見据えながら、将来の紛争リスクを抑えることができます。

4-3.親族間の対立を代理人として整理できる

相続では、法律問題だけでなく感情面の対立が大きくなることも少なくありません。
特に、事業承継が絡むケースでは、「自分も会社に貢献してきた」「親の意思を尊重すべきだ」など、相続人それぞれの思いがぶつかりやすくなります。

当事者同士で話し合いを続けると、感情的な言い合いになり、関係が悪化してしまうこともあります。

弁護士が代理人として間に入ることで、感情的な対立を防ぎながら、法的な観点に基づいて冷静に話し合いを進めやすくなります。

4-4.遺産分割調停・審判など裁判手続にも対応できる

相続人同士の話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停や審判を行う必要があります。

もっとも、調停や審判では、法的な主張や証拠・資料の整理が必要になるため、専門的知識がないまま対応するのは難しいといえます。

特に、非公開株式を含む相続では、「株価をどう評価するか」「誰が株式を取得すべきか」「遺留分をどう考えるか」など、複雑な争点が問題になることもあります。

自分だけで対応しようとして、十分な主張や資料提出ができないと、不利な結果につながるおそれもあります。

弁護士に依頼すれば、調停・審判に必要な主張整理や資料準備、相手方との対応まで一貫したサポートを受けられます。精神的な負担を軽減しながら、適切な解決を目指しやすくなる点もメリットです。

5.解決事例|非公開株式を含む相続・事業承継紛争を解決したケース

非公開株式の相続では、「会社経営に関わる予定はないが、株式だけ相続してしまった」というケースもあります。

当事務所でも、被相続人が経営していた会社の非上場株式を相続したものの、売却が難しく、相続税負担にも悩まされていたという事案を対応しました。

この事案では、弁護士が関係者との調整や法的整理を進めた結果、株式の整理が実現し、相談者が株式を手放したうえで、実質的な負担軽減につながる形で解決しました。

詳しくは、以下の解決事例をご覧ください。
相続した非上場株式を会社側との交渉により手放し、相続税負担の軽減につなげた事例

6.まとめ

非公開株式を含む相続・事業承継では、株価評価、経営権、遺留分、相続税など、複数の問題を整理しながら進める必要があります。預貯金のように簡単に分けられず、譲渡制限により自由に売却できないケースも少なくありません。

また、「会社を継ぎたい相続人」と「経営には関わりたくない相続人」で利害が対立し、親族間の争いに発展することもあります。

非公開株式を含む相続では、早い段階で状況を整理し、適切な対応方針を検討することが重要です。一人で判断せず、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。
お困りの方は、ぜひ一度あたらし法律事務所にご相談ください。

お問い合わせ
お電話でのお問い合わせ
03-6273-0024
03-6273-0024
平日午前9時30分~午後6時00分
メールでのお問い合わせ
お問い合わせフォーム