公開日: 2024年01月29日

相続問題を弁護士に任せる?司法書士?どっちにすべきか

相続問題を弁護士に任せる?司法書士?どっちにすべきか

相続問題が発生した場合、自分たちだけで解決が難しいときには専門家への依頼を検討することになります。
相続問題を依頼できる専門家には「弁護士」と「司法書士」がいますが、どちらに依頼するのが良いのでしょうか?

弁護士と司法書士は業務内容に違いがありますので、それぞれの専門家に依頼するメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、どちらに依頼するかを検討するようにしましょう。

今回は、相続問題を弁護士と司法書士のどっちに相談・依頼すべきかについて解説します。

1.相続問題は弁護士と司法書士のどちらに依頼すべき?

相続問題を弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきなのか?という問題は、あなたがどのような悩みを抱えていて、どのような解決を望むのかによって異なります。

最初に、「弁護士に依頼すべきケース」「司法書士に依頼すべきケース」を箇条書きで説明した後、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

1-1.相続問題を弁護士に依頼すべきケース

弁護士に相続問題を依頼すべきケースとしては、以下が挙げられます。

  • 自分で相続手続きを行うのが負担に感じる
  • 遺産の分け方をめぐって相続人同士で話し合いがまとまらない
  • 遺言の有効性に争いがある
  • 相続人による遺産の使い込みが疑われる
  • 寄与分や特別受益に争いがある

弁護士は非常に幅広い業務を扱うことができますので、相続問題が発生した場合には、弁護士に依頼しておけば安心といえるでしょう。

1-2.相続問題を司法書士に依頼すべきケース

相続問題を司法書士に依頼すべきケースとしては、以下が挙げられます。

  • 不動産の相続登記が必要になった
  • 遺産分割協議がまとまったものの遺産分割協議書の作り方がわからない
  • 遺言書を作成してもらいたい

相続人同士で争いのない事案については、司法書士でも対応が可能な場合があります。書類作成のみの依頼で費用を安く抑えたいという場合には、司法書士への依頼も検討してみると良いかもしれません。

2.相続問題を弁護士に依頼するメリット・デメリット

まず、相続問題を弁護士に依頼するメリットとデメリットについて説明します。

2-1.弁護士に依頼するメリット

相続問題を弁護士に依頼するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①さまざまな相続問題に対応できる

弁護士は、ほぼすべての法律事務を制限なく扱うことができますので、さまざまな相続問題に対応することができます。弁護士が対応可能な代表的な相続問題を挙げると以下のようになります。

  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議の調整
  • 遺産分割調停、審判
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺留分侵害額請求
  • 相続放棄、限定承認の申述代理
  • 遺言書の作成
  • 遺言執行者への就任

このように幅広い相続問題に対応できますので、弁護士に依頼すれば多くのケースで解決に導いてくれるでしょう。

②相続人の代理人として交渉ができる

弁護士に依頼すれば、相続人の代理人として他の相続人との間の交渉を任せることができます。

相続人同士の話し合いでは、どうしても感情的になってしまい、スムーズな話し合いができないことも少なくありません。
そのような場合には、法律の専門家である弁護士が間に入って交渉することで、冷静かつ円満に話し合いを進めることができます。

③調停や訴訟になった場合も対応できる

相続人同士の話し合いで解決できない問題は、調停訴訟に発展することもあります。

調停・訴訟になった場合には法律の専門家のサポートがなければ対応が難しいですが、弁護士であれば、交渉から引き続いて調停や訴訟にも対応することができます。

2-2.弁護士に依頼するデメリット

相続問題を弁護士に依頼するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①司法書士に比べて費用が割高な傾向

専門家に依頼する際に気になるのが費用面です。

弁護士と司法書士とを比べると、一般的に弁護士に依頼した方が司法書士に依頼した場合に比べて、費用が割高になる傾向があります。

②相続登記への対応ができないことが多い

不動産が相続財産に含まれている場合、相続登記が必要になります。
弁護士でも相続登記を扱うことはできますが、実務上は、相続登記が必要になった場合には、司法書士に依頼するケースが多いです。

そのため、相続登記が必要な事案では、弁護士への依頼とは別に司法書士への依頼が必要になります(弁護士が提携している司法書士を紹介してくれるケースも多いです)。

3.相続問題を司法書士に依頼するメリット・デメリット

次に、相続問題を司法書士に依頼するメリットとデメリットについて説明します。

3-1.司法書士に依頼するメリット

相続問題を司法書士に依頼するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①不動産の相続手続きがスムーズに行える

不動産の相続登記が必要な事案に関しては、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士は、登記業務を専門的に取り扱っていますので、複雑な相続登記であってもスムーズに手続きを行うことができます。

②争いのない相続問題であれば幅広く取り扱い可能

司法書士は登記業務の専門家になりますが、争いのない相続問題であれば取り扱いが可能なものがあります。
司法書士が扱うことができる相続問題としては、以下のものが挙げられます。

  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 相続放棄、限定承認の申述書類作成
  • 遺留分侵害額請求(請求額が140万円以下の場合に限る)
  • 遺産分割調停の申立書類作成

③弁護士に比べて費用が低額な傾向

司法書士でも対応できる相続問題であれば、司法書士に依頼した方が弁護士に依頼するよりも費用を安く抑えることができるでしょう。

3-2.司法書士に依頼するデメリット

相続問題を司法書士に依頼するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

①争いのある事案に関しては対応できない

司法書士が扱うことができる問題は、請求額が140万円未満の事案であり、かつ相続人同士に争いがないものに限られます。

そのため、司法書士に依頼したものの途中で請求額が140万円を超えることになってしまった場合や、相続人同士で争いが生じてしまったような事案では、途中で依頼を取りやめなければなりません。

②代理人になることができない

相続問題で司法書士がサポートできるのは、書類作成の部分に限られ、相続人の代理人として遺産分割協議や調停・裁判などを行うことはできません。

確かに書類作成の負担は軽減されますが、それ以外の手間がかかってしまうのがデメリットといえます。

4.相続問題を弁護士に依頼する際の探し方・選び方のポイント

このように、遺産相続問題は弁護士に相談するのが一番安心です。

弁護士ならば、「遺言書がなく、どのように遺産分割をするか親族間で決まらない」「遺言の内容を見ると遺留分を侵害されている」「自分に不利な遺産分割案で話が進んでおり、納得がいかない」といったトラブルにも適切に対応できます。

もちろん、「自分の死後に争いなく家族が幸せになってほしい(遺言書を作りたい)」「成年後見制度を利用したい」というお悩みにも対応可能です。

相続問題を弁護士に依頼する際には、以下のポイントを押さえて弁護士を探すと良いでしょう。

4-1.相続問題に関する実績が豊富

相続問題は、基本的にはほとんどの弁護士が扱うことができる分野です。
しかし、弁護士によっては重点的に取り扱う分野に差がありますので、相続問題を適切に解決に導いてもらうには、相続問題に関する実績が豊富な法律事務所を選ぶべきです。

最近では、ホームページ上に解決実績などを掲載している法律事務所も増えてきていますので、それらを参考にしてみるとよいでしょう。

4-2.料金が明確

弁護士に依頼をすると、着手金や報酬金といった弁護士費用の支払いが必要になります。初めて弁護士に依頼する方は、どのようなタイミングでいくら費用が発生するのかわからず、弁護士への依頼を躊躇してしまう方も少なくありません。

このような不安を解消するためにも、依頼した場合の費用を相談時に明確に提示してくれる法律事務所を選ぶと良いでしょう。

さらに、ホームページ上に料金を掲載している法律事務所であればある程度の費用を把握することができますので、それらも参考にしてみましょう。

4-3.親身になって相談に応じてくれる

相続問題は、着手金を払って弁護士に依頼すればそれで終わりというわけではありません。その後も必要に応じて弁護士との打ち合わせが必要になってきます。

例えば、高圧的な態度をとる弁護士だと、打ち合わせの際に委縮してしまい、言いたいことも言えなくなってしまうおそれがあります。依頼者の話の腰を折るような弁護士だと、お願いしたいことや希望を十分に聞き入れてもらえない可能性もあります。
弁護士を選ぶ際には、親身になって相談に応じてくれる弁護士を選ぶようにしましょう。

なお、弁護士に相談したとして、その場で依頼しなければならないわけではありません。少しでも相性が悪いと感じた場合には、別の弁護士に相談することも検討すべきです。

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5.まとめ

相続問題を依頼できる専門家には弁護士と司法書士がいますが、司法書士は扱うことができる業務に限りがありますので、幅広い問題に対応できる弁護士に相続問題を依頼するのが安心といえるでしょう。
よって、相続問題でお困りの方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

あたらし法律事務所では、遺産相続トラブルや相続の事前対策のサポートを行っております。弁護士への相談にハードルを感じている方にも配慮し、個人のお客様の初回相談料を「30分無料」にしております。

相続について何かお困りなこと・疑問点等ありましたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談いただければと思います。お客様が明るい気持ちで「新しい」一歩を踏み出せるように、しっかりサポートしてまいります。

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