長期間継続した借地契約について、訴訟手続を経て土地明渡しを実現した事例
ご依頼の経緯
ご相談者は、長期間にわたり土地を借地として貸していた地主側の方でした。
借地契約は相当長期間継続しており、当初は借地人側が居住用として借地上建物を使用していました。
その後、借地人側で相続が発生し、現在の借地人側では、借地上建物を居住用として使用する必要性が低下していました。
周辺地域では建物の高層化・土地の高度利用が進んでいた一方で、借地上建物は低層の古い建物であり、地主側の土地使用の必要性との関係が問題となりました。
また、過去に借地上建物について改修等が行われていましたが、地主側の承諾があったかどうかが明確ではありませんでした。
地主側としては、借地関係を終了させ、土地の返還を受けたいとのご希望でした。
主な争点
- 長期間継続していた借地契約について、地主側から更新拒絶又は明渡しを求めることができるか。
- 借地上建物の利用状況や、現在の借地人側における土地利用の必要性をどのように評価するか。
- 周辺の土地利用状況や地主側の土地使用の必要性を、正当事由としてどこまで主張できるか。
- 過去の改修等について、地主側の承諾があったといえるか。
- 立退料を含め、どのような条件で土地明渡しを実現するか。
- 訴訟中に借地上建物の占有関係が変更されることを防ぐ必要があるか。
当方の対応
借地契約の内容、契約期間、更新経緯、借地上建物の状況、利用実態、過去の改修の経緯、周辺地域の土地利用状況などを確認しました。
まずは交渉による解決を試みましたが、借地人側が土地明渡しに応じる姿勢を示さなかったため、訴訟提起を行いました。
訴訟提起にあたっては、借地上建物の占有関係が変わることによって手続が複雑化することを防ぐため、占有移転禁止の仮処分も行いました。
訴訟では、借地上建物の利用状況、現在の借地人側における土地利用の必要性、周辺地域の土地利用状況、過去の改修の経緯、地主側の土地返還の必要性などを整理して主張しました。
あわせて、立退料を含む現実的な解決条件についても検討しました。
結果
訴訟手続を経て、最終的に、立退料を含む条件を定めたうえで和解が成立しました。
その結果、地主側は借地関係を終了させ、土地の返還を受けることができました。
交渉段階では解決が困難でしたが、訴訟と占有移転禁止の仮処分を組み合わせることで、土地明渡しに向けた手続を進めることができました。
弁護士の視点
長期間継続している借地契約では、地主側が土地の返還を求める場合でも、単に契約期間が満了したというだけで直ちに明渡しが認められるわけではありません。
借地上建物の利用状況、借地人側の土地利用の必要性、地主側の土地使用の必要性、過去の更新経緯や改修の有無など、さまざまな事情を総合的に検討する必要があります。
また、借地契約の終了や明渡しを求める場合には、立退料を含めた解決条件も重要になります。交渉で解決できない場合には、訴訟提起に加え、第三者への占有移転を防ぐための仮処分など、明渡しを実現するための手続を検討することがあります。
借地の明渡しや立退きは、事案ごとの事情によって見通しや解決条件が大きく変わるため、契約内容、建物の状況、利用実態、当事者双方の必要性を踏まえて、慎重に対応することが重要です。



