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遺言執行者は誰に依頼すべき?弁護士・司法書士・行政書士の違いと選び方

遺言執行者は誰に依頼すべき?弁護士・司法書士・行政書士の違いと選び方

「遺言執行者には誰を指定すればよいのだろうか」
「家族に任せても問題ないのか、それとも弁護士などの専門家に依頼した方がよいのだろうか」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために、預貯金の解約や不動産の名義変更など、さまざまな手続きを行う人です。
誰を遺言執行者に選ぶかによって、相続手続きが円滑に進むかどうかや、相続人同士のトラブルを防げるかが左右されることもあります。

遺言執行者には、相続人や親族だけでなく、弁護士や司法書士などの専門家を指定することも可能です。それぞれに特徴がありますが、相続財産が多い場合や、相続人同士で意見が対立するおそれがある場合には、専門家への依頼を検討した方がよいケースも少なくありません。

本コラムでは、遺言執行者になれる人や依頼先ごとの特徴を比較しながら、弁護士を遺言執行者に選ぶメリットや、弁護士への依頼が適しているケースについて解説します。

1.遺言執行者とは?

遺言執行者を誰に依頼するべきかを考える前に、まずは遺言執行者がどのような立場の人なのかを確認しておきましょう。

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1-1.遺言の内容を実現するための手続きを行う

遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために必要な手続きを行う人です。

たとえば、預貯金の解約や払戻し、不動産の名義変更、有価証券の名義変更など、相続財産に関するさまざまな手続きを進めます。
また、遺言の内容によっては、子どもの認知や相続人の廃除・廃除の取消しなど、遺言執行者でなければ行えない手続きもあります。

このように、遺言執行者は単に書類を提出するだけではなく、遺言者の意思を法律に沿って実現する重要な役割を担っています。

1-2.遺言執行者になれる人

遺言執行者は、未成年者と破産者を除き、原則として誰でも就任できます
そのため、配偶者や子どもなどの相続人や親族を指定することもできますし、弁護士や司法書士などの専門家を指定することも可能です。

もっとも、「就任できること」と「適任であること」は必ずしも同じではありません。

相続人が遺言執行者になると、手続きを進める中で他の相続人から「自分に有利なように進めているのではないか」と疑われ、感情的な対立につながることもあります。

そのため、誰を遺言執行者に選ぶかは、家族関係や相続財産の内容なども踏まえて慎重に検討することが大切です。

1-3.誰が遺言執行者を決める?

遺言執行者は、遺言書の中で指定するのが一般的です。
一方、遺言書に遺言執行者の指定がない場合や、指定された人が就任できない場合などには、利害関係人が家庭裁判所に申し立てを行い、遺言執行者を選任してもらうことも可能です。

では、実際に遺言執行者には誰を選ぶのがよいのでしょうか。

次章では、相続人や親族、弁護士、司法書士、行政書士など、それぞれの特徴や違いについて解説します。

2.遺言執行者は誰に依頼できる?

遺言執行者には、相続人や親族だけでなく、さまざまな専門家を指定できます。

どの依頼先にもメリット・デメリットがあるため、相続財産の内容や相続人同士の関係などを踏まえて選ぶことが大切です。

2-1.相続人・親族

配偶者や子どもなどの相続人や親族を遺言執行者に指定することもできます。

家族構成や財産の状況をよく把握しているため、遺言者の意向を理解したうえで手続きを進めやすい点がメリットです。また、専門家へ依頼する場合と比べて、費用を抑えられることもあります。

一方で、相続人が遺言執行者になると、他の相続人との利害が対立する可能性があります。特に、遺産の分け方に不満を持つ相続人がいる場合には、「公平に手続きを進めてもらえないのではないか」と疑念を抱かれ、相続手続きが円滑に進まなくなることもあります。

2-2.司法書士

司法書士は、不動産の相続登記をはじめとする登記手続きに関する専門家です。

遺産の中心が不動産であり、相続人同士に争いがなく、手続きを円滑に進められるケースでは、遺言執行者として依頼する選択肢となるでしょう。

もっとも、司法書士は、相続人同士の交渉や紛争への対応を代理人として行うことはできません。そのため、相続をめぐる対立が生じる可能性がある場合には、対応できる範囲に限りがあります。

2-3.行政書士

行政書士は、遺産分割に関する書類や各種申請書類の作成などを得意としています。

相続人同士で争いがなく、必要な手続きも比較的シンプルな場合には、遺言執行者として依頼することも考えられます。

ただし、司法書士と同様に、相続人間の紛争や法律上のトラブルに対応することはできません。遺言の解釈をめぐる争いや遺留分侵害額請求など、法的な問題が生じた場合には、別途弁護士へ相談・依頼する必要があります。

2-4.信託銀行

信託銀行では、遺言書の作成支援から遺言の保管、遺言執行までを一括して提供するサービスを取り扱っている場合があります。

相続財産が高額で、預貯金や有価証券などの財産管理を含めて依頼したい方にとっては、有力な選択肢のひとつです。

もっとも、利用には一定以上の財産額などの条件が設けられていることがあるほか、法的な紛争が生じた場合には、弁護士への対応が必要になるケースもあります。

2-5.弁護士

弁護士も、遺言執行者として指定することができます。

相続財産の種類や件数が多い場合や、相続人同士で対立が生じる可能性がある場合でも、法律の専門家として適切に対応できることが大きな特徴です。
また、遺言執行の過程で法的な問題が生じた場合にも、法律の専門家として問題点を整理し、適切な対応を検討できる点もメリットです。

ただし、遺留分や遺言の有効性をめぐって相続人同士の紛争が生じた場合など、遺言執行者とは別に代理人を立てる必要があるケースもあります。

このように、どの専門家にもそれぞれの強みがありますが、複雑な相続や将来的なトラブルの可能性まで考慮すると、弁護士に依頼するのがおすすめです。

次章では、遺言執行者を弁護士に依頼するメリットについて、詳しく解説します。

3.遺言執行者を弁護士に依頼するメリット

遺言執行者は相続人や親族、司法書士、行政書士などに依頼することもできます。
しかし、相続財産が多い場合や、相続人同士の関係に不安がある場合には、弁護士へ依頼することをおすすめします。

ここでは、弁護士を遺言執行者に選ぶ主なメリットをご紹介します。

3-1.複雑な相続手続きも一括して任せられる

相続財産が預貯金だけであれば、比較的手続きはシンプルです。
しかし、複数の不動産や株式、賃貸アパート、非上場株式などが含まれる場合には、必要となる手続きも多岐にわたります。

弁護士であれば、こうした複雑な相続手続きについて全体を見渡しながら進めることができます。

また、必要に応じて司法書士や税理士など他士業と連携し、相続手続きを円滑に進められる点もメリットです。

3-2.相続人同士の対立があっても中立的に手続きを進められる

遺言執行者には、公平・中立な立場で遺言を実現することが求められます。
もっとも、相続人が遺言執行者になると、他の相続人から「自分に有利になるよう手続きを進めているのではないか」と疑われ、感情的な対立につながることがあります。

その点、第三者である弁護士であれば、特定の相続人の利益ではなく、遺言の内容や法律に基づいて手続きを進めます。

そのため、相続人が直接手続きを行う場合と比べて、不要な誤解や対立を防ぎやすくなるでしょう。

3-3.法的な問題が生じても適切な対応を検討できる

相続では、当初は円満に見えていても、手続きを進める中で法的な問題が生じることがあります。

たとえば、「遺言書は無効ではないか」と主張する相続人が現れたり、遺留分侵害額請求を受けたりするケースも少なくありません。

弁護士が遺言執行者であれば、法律の専門家として問題点を整理し、遺言執行者として対応できる範囲を見極めながら、適切に手続きを進めることができます。

ただし、遺留分や遺言の有効性をめぐって相続人同士の紛争が生じた場合などには、遺言執行者である弁護士が特定の相続人の代理人として対応できず、別の弁護士への依頼が必要になることもあります。

3-4.遺言書の作成段階から相談できる

弁護士は、遺言執行だけでなく、遺言書の作成段階から相談することもできます。
将来的な相続トラブルを見据えながら、法的に有効な遺言書の作成をサポートしてもらえるため、「執行できない遺言」や「解釈をめぐって争いになりやすい遺言」になるリスクを抑えられます。

また、遺言書を作成した弁護士がそのまま遺言執行者に就任すれば、遺言者の意思や作成時の経緯を十分に理解したうえで手続きを進められるため、相続開始後もよりスムーズな遺言執行が期待できるでしょう。

4.遺言執行者を弁護士に依頼したほうがよいケース

ここまで、遺言執行者を弁護士に依頼するメリットをご紹介しました。
では、実際にはどのような場合に弁護士へ依頼することを検討すべきなのでしょうか。

ここでは、弁護士を遺言執行者に指定したほうがよい代表的なケースをご紹介します。

4-1.相続人同士で揉める可能性がある

相続人同士の関係が良好であれば、大きな問題なく手続きが進むこともあります。

一方で、疎遠になっている相続人がいる場合や、前妻・前夫との間の子どもが相続人になる場合、特定の相続人へ多くの財産を残す内容の遺言を作成する場合などは、感情的な対立が生じる可能性があります。

このようなケースでは、第三者である弁護士が遺言執行者となることで、公平な立場から手続きを進めやすくなります。

4-2.財産の種類や件数が多い

相続財産が複数の不動産や賃貸物件、非上場株式などで構成されている場合には、必要となる手続きも複雑になります。

また、財産の種類が多いほど、関係する専門家との連携や手続きの管理も重要になります。

弁護士であれば、相続全体を見渡しながら手続きを進めることができ、必要に応じて司法書士や税理士などと連携しながら、円滑な遺言執行を目指すことができます。

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4-3.確実に遺言を実現したい

遺言書を作成する方の多くは、「自分の意思どおりに財産を引き継いでほしい」と考えています。
そのためには、遺言書を作成するだけでなく、内容を適切に実現できる遺言執行者を選ぶことも重要です。

特に、遺留分への配慮が必要なケース法的な問題が生じる可能性があるケースでは、遺言書の作成段階から弁護士に相談し、遺言執行者として指定しておくことが有効です。
相続開始後に紛争が生じた場合には別の弁護士への依頼が必要になることもありますが、法律上の問題を踏まえながら適切に遺言執行を進めることで、遺言者の意思を実現しやすくなるでしょう。

5.まとめ

遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実現する重要な役割を担います。そのため、誰でも就任できるからといって安易に決めるのではなく、相続財産の内容や家族関係などを踏まえ、適切な人を選ぶことが大切です。

特に、相続人同士でトラブルになる可能性がある場合や、相続財産が多岐にわたる場合には、法律の専門家である弁護士を遺言執行者に指定しておくことで、相続手続きを円滑に進めやすくなります。また、遺言書の作成段階から相談すれば、将来のトラブルを見据えた遺言書の作成についてもアドバイスを受けることができます。

あたらし法律事務所では、遺言書の作成から遺言執行まで、相続に関するさまざまなご相談を承っています。
遺言執行者を誰に依頼すべきかお悩みの方や、ご自身のケースに適した方法を知りたい方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

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