不動産資産を有する方の離婚・高額財産分与の事例
ご依頼の経緯
ご相談者は、婚姻前から不動産を所有し、不動産賃貸収入により資産を形成していました。
婚姻後にも不動産の取得がありましたが、その原資には、婚姻前から所有していた不動産の賃料収入や、その収益をもとに形成された資産が含まれていました。
離婚に際し、相手方から、多数の不動産や関連資産を財産分与の対象とすべきであるとして、高額な財産分与請求がなされました。
相手方は、法律上の婚姻前から実質的な夫婦関係があったとも主張しており、財産分与の対象期間や対象財産の範囲が大きな争点となりました。
また、婚姻関係を前提として遺言が作成されていたため、離婚問題とあわせて、将来の相続に関する問題も見直す必要がありました。
主な争点
- 婚姻前から所有していた不動産及びその収益が、財産分与の対象となるか。
- 婚姻後に取得された不動産について、その取得原資が婚姻前財産又はその収益に由来する場合、どこまで財産分与の対象となるか。
- 法律上の婚姻前から、財産分与の対象期間に影響するような実質的な夫婦関係があったといえるか。
- 多数の不動産、賃料収入、預貯金等について、特有財産と財産分与対象財産をどのように区別するか。
- 離婚に伴い、婚姻関係を前提として作成されていた遺言をどのように見直すか。
当方の対応
不動産の取得時期、取得原資、賃料収入の流れ、預貯金の移動、婚姻前後の生活状況を整理しました。
婚姻前から所有していた不動産や、その不動産から生じた収益を、当然に財産分与の対象とすべきではないことを主張しました。
相手方が主張する婚姻前からの実質的な夫婦関係について、同居状況、生活実態、周囲から夫婦として認識されていたか、財産管理の状況などを踏まえ、反論を行いました。
離婚問題と並行して、婚姻関係を前提として作成されていた遺言についても見直しを行いました。
結果
控訴審において、相手方の主張する高額な財産分与額を前提とせず、大幅に減額した内容で和解が成立しました。
婚姻関係を前提として作成されていた遺言についても見直しを行い、将来の相続に関するリスクを整理することができました。
弁護士の視点
婚姻前から不動産や収益資産を有していた場合、離婚時の財産分与では、どこまでが夫婦で形成した財産といえるのかが大きな問題となります。
特に、不動産賃貸収入をもとに婚姻後も資産が増加している場合には、不動産の取得時期だけでなく、取得原資、賃料収入の流れ、預貯金の移動、婚姻前後の生活実態などを丁寧に整理する必要があります。
また、法律上の婚姻前から実質的な夫婦関係があったと主張される場合には、同居状況、生活実態、周囲との関係、財産管理の状況などを踏まえ、財産分与の対象期間を慎重に検討することが重要です。
高額な財産分与が問題となる事案では、財産形成の経緯を具体的に整理し、特有財産と財産分与対象財産をどのように区別するかが、解決内容に大きく影響します。不動産資産や不動産賃貸収入を有する方の離婚では、離婚問題だけでなく、遺言や相続対策の見直しが必要となることもあります。



