
法人の破産(自己破産)申立の標準的な流れについてまとめました。
目次
相談・準備
1 倒産手続の選択
ご相談者が、破産手続が適しているのか、民事再生手続が適しているのか、通常清算や特別清算、特定調停の手続の利用が適しているのか、ご相談者のお話をもとに、ご持参いただく決算書類等の資料を確認しながら決定いたします。
2 受任通知・破産申立時期の検討
破産手続を選択する場合には、法人の事業が継続しているか否か、資産にはどのような財産があるのか、会計帳簿があるのか、債権者がどのくらいいるのか、どのような債権者がいるのか、従業員はいるのか等を考慮に入れて、受任通知の時期や破産申立ての時期を検討していきます。
3 事業廃止・従業員の解雇等
事業を継続している場合には、その廃止時期、従業員を雇用している場合は、解雇等をする時期も検討が必要となります。
特に、事業が継続中の場合や事業の廃止が間もない場合、従業員の未払賃金がある場合などは、早めに申立をする必要があります。
受任通知
公租公課が多額の場合など、必ずしも受任通知を要しない場合もありますが、基本的には、債権者の取り立てを中止し、債権調査を行うために、債権者に受任通知を発送します。
破産申立て
裁判所に申立書を提出します。東京地裁での申立の場合、申立日及びその後3日以内に裁判官と面接を行われます。
破産申立ては、法人と代表者を同時に申立てすることが多いのですが、経営者保証ガイドラインに従い、経営者個人の破産手続を回避する方法も考えられます。
破産管財人と打合せ
破産管財人内定者(正式には破産手続開始決定時に就任)と申立代理人も含めた三者で打合せを行い、申立人代理人から破産管財人に預り書類・預金・現金等の引継ぎを行うとともに、法人の財産・債権などを中心に法人代表者にヒアリング調査がなされます。
なお、破産管財人との打合せは、その後も必要に応じて行われます。
破産手続開始決定
東京地裁では、即日面接の翌週の水曜日午後5時に行われています。また、各債権者には開始決定が裁判所より通知されます。
なお、法人宛て(代表者個人の破産申立の場合は、代表者宛て)の転送物は、第1回債権者集会の日まで原則として転送されます。
破産手続開始決定
1 破産者の財務状況等の報告
破産申立てから約3か月後に債権者集会が開催されます。債権者集会では、破産管財人から財産調査等の報告が行われ、出席債権者に意見を述べる機会が設けられます。
配当する原資がない事案については、同日に手続が終了します(いわゆる異時廃止)。
なお、債権者集会までに、財産調査や免責調査が終了しない場合には、その後も債権者集会が別の期日に設定され、続行します。
2 免責審尋
代表者個人の破産申立てがある場合には、免責審尋期日が開催され、破産管財人の意見をもとに、概ね1週間後に免責許否の決定がなされます。
3 配当事案
配当金額が1000万円未満の配当事案の場合には、債権者集会後、破産管財人より配当がなされ、任務終了計算報告集会の期日(原則として債権者集会から7週目)において、破産手続が終了します。
まとめ
以上は、法人の標準的な破産手続の流れ(少額管財事件)の概要ですが、債権者が破産申立てを行う事件、債権者が多数の事件、消費者被害事件等は、特定管財事件と呼ばれ、上記とは別の流れになりますので、注意が必要です。詳しくは弁護士にお問い合わせください。